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分業化による 酪農 の活性化に向けて

三本目の矢 県内初の民間育成牧場

1 県内初 の民間育成牧場
平成 2 8 年 5 月 に南房総市和田町に民間の育成牧場「スノー ・ フィード 中三原ファー ム」が開設されました。
開設当初 の 50 頭程度から順次規模を拡大し、現在(令和元年 6 月 時点 は ホルスタイン種育成牛185頭を預かり、加えて自社所有の和牛 4 頭、交雑種 27頭を飼育しています。
丁寧な管理により育成成績も良く、預託の要望も多いことから 、今後 250頭規模まで受け入れを増やす計画です。

2 酪農の理想郷を作りたい
朝晩の搾乳・餌やりに加え、子牛の世話、 糞尿の処理、自給飼料を作ればさらなる作業。
休みがない、作業時間 が長い、その割に所得も低い。
このような状況 からくる 後継者 不足 、従事者の高齢化が叫ばれて久しく、安房地域でも毎年 10 戸前後の酪農家 が離農しています。
そのような中、11年前の雑談から始まった「和田町を酪農の理想郷へ」との構想が、酪農家、飼料メーカー、飼料販売業者、家畜診療所、行政を巻き込み着実に実現されてきています。

3 外部化(分業化による酪農がしやすい仕組みづくり)
酪農家が多くの仕事に追われる中、外部化により時間的、体力的に余裕を持った経営が行えるよう、三つの仕組みが作られました 。
(1)TMR センターの設立
一つ目の取 組として、 飼料調製・給餌の外部化です。
飼料販売業者が母体となり平成 21年に㈱スノー・フィード・サービスとして TMR センターが設立されました。
酪農家では 、安定した飼料が入り生産が安定するとともに飼料調製や給餌にかかる労力・時間が大きく削減されました。
(2)飼料生産コントラクターの設立
二つ目として、 自給飼料生産の委託です。
TMR センター設立の翌年に飼料生産コントラクター「 NFC 和田」が立ち上がり、受け皿ができたことで、自給飼料生産に要す労力・時間が大幅に減りました。
また、個々で飼料生産機械を持つ必要がなくなったことから機械費用の削減にも繋がっています。
(3)育成牧場の開設
三つ目として、育成牛管理の外部化です。
全国的に預託牧場は珍しくなく、県内にも県・市合わせて 3 つの公共牧場がありますが、民間の預託牧場としては県内初の取組です。
育成牛の預託により、酪農家は親牛の管理に注力でき、生産性の向上が期待でき ます。
スノー・フィード中三原ファームの強みの一つに適切な飼養管理が上げられます。
家畜診療所や飼料メーカーの指導・助言を受けながら、畜産を専攻した地元高校の卒業生が中心となって働き、丁寧な飼養管理により、預ける酪農家からは高く評価されています。
また、繁殖状況や疾病など、酪農家や家畜診療所とまめに連絡を取ることで、繁殖の要望や疾病に対しスムーズな対応ができることも大きな強みです。

4 将来に向けて
これら三つの仕組みにより、酪農家は時間的、体力的な余裕ができ、飼養管理の充実に よる牧場の生産性向上や体力的に無理のない経営が可能となりました。
地域の将来を見据えて、酪農家と関係者が一体となって取り組んだことで、大きく理想郷に近づいています。
これらの取組の結果、昨年と今年で和田地区に後継者が4 名入ってきました。
とても大きな成果です。
しかし、三つの仕組みも万能ではありません。
輸入乾草価格、人件費の高騰による飼料費の値上がり、コントラクターオペレーターの高齢化など課題があります。
今後、さらなる発展に向けて、それぞれの仕組みをバージョンアップするとともに、新たな仕組みとして、空き牛舎の活用についても検討していく必要があると考えます。

初掲載:令和元年7月
安房農業事務所改良普及課
南房総・鋸南グループ
普及指導員 野中太輔
電話:0470-22-8132

授精師とともに育成牛に人工授精を行う若手職員

丁寧な管理でいつもきれいな牛舎